百日咳が流行しています!
2024年から2025年にかけてベトナム全国で多くの百日咳の症例が報告されています。感染者のうち90%が5歳未満の子ども、40%が2か月未満の乳児であり、ワクチン未接種や接種年齢に達していない子どもが感染の中心となっています 。
百日咳とは
感染経路は鼻咽腔や気道からの分泌物による飛沫感染と接触感染であり、感染力が強いことが知られています。

百日咳の症状と治療
百日咳は7-10日程度の潜伏期間を経て、3つの段階で進行します。初期は軽い咳や鼻水、微熱など風邪のような症状で始まります(カタル期:約2週間)。その後、激しい咳が続く痙咳期(2-3週間)に入ります。この時期に特徴的なのは、激しい咳の発作と、息を吸うときの「ヒュー」という笛のような音です。そして、最後に徐々に症状が改善していきます(回復期:2-3週間)が、咳が完全に治まるまでに数か月かかることもあります。
乳児、特にワクチン接種開始前の新生児や乳児早期では痙咳期に重症化することがあり、肺炎や脳症などの合併症を併発し、稀に死に至ることもあります。年齢が小さいほど症状は多様で、新生児や乳児早期では特徴的な咳がなく、息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ、けいれん、呼吸停止と進展することがあります。
治療の中心は抗菌薬(抗生物質)です。抗菌薬の早期投与により症状の悪化を防ぎ、他の人への感染も抑えられます。しかし、症状が進行している場合は入院し酸素投与や輸液などの治療が必要になることがあります。
予防はワクチンで
百日咳を防ぐ最善の方法はワクチン接種です。ワクチン接種により罹患リスクを80-85%程度減らせることがわかっています 。ベトナムでは6種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、ヒブ、B型肝炎)が標準接種として行われています。0歳から1歳で合計4回、さらに4-6歳で3種または4種混合ワクチンとして追加接種をするのが標準的です。
また妊婦への接種も推奨されています。妊婦がワクチンを接種することで、百日咳に対する抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、この抗体により出生後の新生児が百日咳から守られます。
百日咳は、正しい知識と予防策で防ぐことができる病気です。気になることがあれば、ぜひお気軽にクリニックまでお問い合わせください。
担当医師の紹介
滋賀医科大学医学部卒業。日本国内で小児科医・救急医・総合診療医として経験を積んだ後、国境なき医師団・南スーダン派遣。
その後Liverpool School of Tropical Medicine (イギリス)公衆衛生学修士取得後、UNICEF
北マケドニアでの勤務を経て2024年12月より現職。

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